コラム |2013.10.24
【教育動向】課題残る普通科高校でのインターンシップ
2012(平成24)年度に公立中学校・高校で職場体験やインターンシップ(就業体験)を
実施した学校の割合が過去最高となったことが、国立教育政策研究所の調査
(外部のPDFにリンク)でわかりました。キャリア教育を受けた者は正規雇用者として
就職する割合が高いということは当コーナーでも紹介しましたが、学校現場でもキャリア教育の
重要性が認識されているようです。
ただ、高校の普通科は実施校数こそ多いものの、実施生徒は全体の2割にも満たず、
まだまだ課題は多いと言えます。
企業や事業所などで仕事に触れる「職業体験」を実施した公立中学校は98.0%
(前年比1.1ポイント増)で、ほぼすべての公立中学校が何らかの形で職場体験を導入しています。
また、すべての公立中学校で職場体験を実施している都道府県・政令指定都市は、
富山県・福井県・愛知県など、10県9市にあがっています。
職場体験の実施日数(年間)を見ると、
「3日」が39.4%「2日」が30.1%、「5日」が14.8%、
「1日」が10.8%、「4日」が4.4%、「6日以上」が0.4%となっています。
ただ、「5日」の職場体験を実施している学校の割合は5年連続で減少傾向にあり、
2~3日程度の実施が増えているようです。
中学校の新学習指導要綱では、いわゆる主要教科の授業時間が増えたため各学校とも
授業時間数の確保に苦慮していおり、その影響があるのかもしれません。
実際の職業を経験するインターンシップを行っている公立高校(定時制を含む)は全体で
79.8%(前年比2.6ポイント増)と、こちらも過去最高を記録しました。
すべての公立高校で導入している都道府県・政令指定都市は、福井県・鳥取県・熊本県など
3県8市です。実施日数(年間)は「2~3日」が54.2%、「1日」が24.2%、「4~5日」が15.7%、
「6~10日」が2.9%など。インターンシップの教育上の位置づけ(複数回答)は、
「現場実習等教科・科目」が21.7%、「総合的な学習の時間」が20.4%などですが、
「教育課程に位置づけていない」という学校も53.0%もあります。
課外活動の一環として休日や夏休みなどに実施しる高校が多いようです。
高校のインターンシップの実施率を学科別に見ると、
「農業」が92.7%、「商業」が85.4%、「工業」が83.0%、「普通科」が74.0%などと
なっています。ところが、最終学年において「(インターンシップを)在学中に1回でも体験した」
ことがある生徒の割合を見ると、
「農業」が67.2%、「商業」が61.4%、「工業」が58.2%などに対して、「普通科」は17.9%に
すぎませんでした。つまり、普通科のインターンシップは実施校こそ7割を超えているものの、
実施にはごく一部の生徒しか実施されていないということになります。
もちろん、大学受験など普通科にもやむを得ない事情はあるでしょう。しかし、大学に進学しても
卒業後は職業に就くことを考えれば、高校時代のインターンシップをさらに充実させる必要があると
思います。
(2013.10.21 提供:Benesse教育情報サイト)